書籍資料

さきに刊行した『古地図編』には4点の書籍類が収録されているが、地図と書籍 では資料の性格が異なるため、当然のことながら目録規則の検討から作業を始めなけ ればならなかった。研究会の活動は2005年7月から始まったが、目録規則が暫定的に 決まったのは試行錯誤を経て漸く2006年初めのことである。標題の記述方法など 基本的な部分は『古地図編』作成規則に準じたが、 形式の記述をより詳細におこなうこととした。書籍資料とひとくくりに言っても、書 簡、出板広告、地誌など、様々な資料群で成り立っており、したがって形式も冊子、 一枚物、巻子本、折本と各種ある。形式により単位(冊、枚、巻、帖)を使い分け、 さらに冊子は墨付丁数を記述することなどを定めた。また、多くの刊本には刊記があ るが、その情報は地図の時は出版地・者と出版年月日に分割して記述するのみであっ たが、書籍の目録作成にあたっては、刊記全体を分割せずに記述する 項目を別途設けた。実際に作業を始めてみると、写本や複数の書籍が合冊されたもの の記述方法など、検討を要する事例が多く出てきている。

次に課題となったのは、図書館の目録に記載されていない資料が多数存在すること、 即ち蘆田文庫資料が以下のように分類されることが明らかになったことである。

図書館には、司書長であった奥村藤嗣氏が編纂した『蘆田文庫解題目録 4』(以下『目録』) がある。 作成の時期は不明ながら、明治大学図書館に蘆田伊人氏旧蔵資料が入った1957年から さほど離れていない時期のものと推定され、蘆田氏旧蔵資料受入に関する 記録がほとんど 残っていない現在、受入資料の全容を把握するための典拠5となる資料である。この『目録』と現物資料とを付き合わせるこ とにより、上記の分類が可能になった。現在、上記のうち整理済資料および現物のあ る未整理資料について目録作業を行っているが、所在のわからない資料の調 査も今後おこなわなければならない。

蘆田文庫研究会
2008-05-01